市場経済は、限られた資源を有効に利用する社会をつくり出します。消費者余剰、生産者余剰、社会的余剰の概念を用いて、市場均衡は最も資源を有効に利用しています。
市場は買い手と売り手が財やサービスを取り引きする場であり、価格をめやすに経済的な意思決定が行われます。
市場経済では一般に自由な競争が行われ、生産量や消費量が適切に自動調整されます。
市場経済(Market Economy)とは、資源の配分が自由市場における需要と供給の関係により決定される経済のことです。
近年では多くの国が市場経済を採用していますが、完全なる市場経済は実施してはおらず政府による何らかの制限が行われている現状です。
市場経済は、財の生産量や配分量といった経済の根本機能においては計画経済や混合経済よりも優れていると言われています。
モノの需要と供給バランスにより効率的な生産が実施され、財の過剰生産や過少生産が抑えられる効率的な経済となり、競争を促進することから労働者の勤労意欲向上や生産性の増加が起こります。
その一方、市場経済下では資源配分が効率的にはなるが、公正とは限られないことから、貧富の差の拡大や需給ギャップの発生、市場機構外における価値の取引(環境問題)などは、人為的な調整が行われないことから適切な配分が行われないという欠点があります。
こうしたことから、近年の世界経済としては、全体的には市場経済を推進するものの、一部の業種や規制、所得再分配、公共事業などを政府の機能として実施する混合経済が主流となっています。
市場均衡について、効用最大化仮説「市場における消費者の行動の目的は効用(消費者が財を購入して得られる満足度)を最大化すること。」は、サービスに対する需要が通常の場合、その財やサービスの価格が上がれば減少し、下がれば増加します。
また企業の利潤最大化行動から、供給は価格が上がれば増加し、価格が下がれば減少します。
そして需要曲線と供給曲線が交わるところが、需要と供給が等しく市場均衡です。
この時、市場メカニズムが働き、需要供給の法則が働きいったんその状態に達すると状態が維持されます。
需要曲線上では、家計の効用は最大化されており、供給線上では企業の利益が最大化されます。
したがって市場均衡点では、家計も企業もどちらも満足する状態になります。
需要曲線と供給曲線の交点の市場均衡で、社会的総余剰は最大になります。
その際、市場均衡以外での不均等下での取引については1つのルールを導入します。
ショートサイドの仮定といわれるものでが、要は誰も望む以上の取引量は強要されないというものです。
具体的には需要と供給が一致しない場合は少ない方で決まるというものです。
望む以上の取引は拒否する一方、望む以下の取引量の取引には応じるという約束事の導入です。
まず市場価格より高い価格で取引が行われる場合を考えると、需要量より供給量が上回るので、ショートサイドの仮定より、取引量は需要の量で決まります。
そうすると市場均衡と比べて、消費者余剰は必ず少なくなります。
これに対して、供給者余剰については、増えるか減るかははっきりしません。
価格が高くなった分で企業の利潤が増える方向に働きますが、取引量が減った分、利潤が減る方向に働き、どちらがおおきいかは、どれだけ均等価格より高いか、また需要曲線や供給曲線の傾きがどうなっているかなどに複雑に影響され一概に言えないからです。
生産者余剰の変化はどうであれ、社会的総余剰は必ず減少します。結局取引量が減少したことによって減少する。
次に市場価格より低い価格で取引が行われる場合を考えると、供給量は需要量より下回るのでショートサイドの仮定より、取引量は供給の量で決まります。
均等価格で取引される場合に比べて、社会的総余剰は減少します。
減少してしまった社会的総余剰は、経済の構成員全員から見て損失になります。
このように、市場均衡の取引とくらべて、取引価格が市場価格よりも高くても低くても、社会的総余剰は減少してしまいます。
言い換えると市場均衡での取引の下で、つまり需要と供給が一致する時に、社会的総余剰は最大化されます。
すなわち市場均衡は資源を有効に使っている状態になります。
社会的無駄がない時と言えます。市場均衡から離れると、社会的総余剰が減ってしまうので、結果的に社会の構成員の誰かは前よりも悪い状態になってしまいます。
ご清聴有難うございました。
(参考文献:新世社 グラフィック経済学 2011,2,10 浅子和美、石黒順子)