アントレプレナーシップ・セレンディピティ
アントレプレナーシップ
アントレプレナーシップという言葉は起業家精神という意味で理解しています。しかし、起業を目指している者にとっては、起業家精神とは何なのか学ぶ必要があると思います。また、起業するにはどのような考え方の道筋が必用か考えてみます。
アントレプレナーシップは、Timmonsによると「本質的に人間の創造的プロセスであり、確固たるビジョンを確立し、ほとばしる情熱、コミットメント、動機づけを持って、パートナー、顧客、従業員、資金の供給者などの利害関係者にそのビジョンを納得させるもの。」とされます。
このことについて考えてみたいと思います。ビジョン、ミッションを掲げ最終目的を記す事から始まります。その目標達成のために熱い情熱が必要です。そしてもしその目的が達成されなかったら、自分で責任をどうとるかという事が、コミットメントであり、ステークホルダーと言われる利害関係者に行動を共に動いてもらえるように動機づけをしなければいけません。自分の考えているビジョンを納得してもらいしいては協力者になってもらうという事です。
アントレプレナーの6つの機能的役割として、「コミットメントと決定力、リーダーシップ、起業機会への執念、リスク、曖昧性・不確実に対する許容性、創造性・自己依存・適応能力、成功への熱意」を提示しています。
これらについても、特にリスク、曖昧性、不可実性に対する許容性が必用になってくると思います。経営資源を使い危うくはうまくいかないかもしれない、しかしこの部分を許容できる範囲に予測し、考えておく事が大切です。決断力と熱意はいかに継続する事が出来るかが大切です。また状況の変化や環境の移り変わりなどにも対応し適応できる柔軟な考え方が必用になります。
Kanaiは、アントレプナーシップに必要な資質として、「何かを創りだそうとする意志、事業の構想能力、経営資源を構築するパワー」をあげ、社会的ネットワークをアントレプレナーショップ実現のための必要不可欠ファクターとしています。
社会的ネットワークとは、ステークホルダーとのコミュニケーションだと思います。公共性として地域などと、どのようにコミュニケーションを行っていくかを考え、ビジネスに関わる利害関係者、顧客を定義してそこでのコミュニケーションが必要になります。
また、彼によれば、「事業機会を認識し、ビジネスプランを策定し、経営資源を集め、そうして創られた組織をマネジメントするというアントレプレナーシップのプロセスにおいて、ネットワークはすべての過程に重要な影響を与えるとする。」としています。
ここでも組織をマネジメントするコミュニケーションが必用になります。ここでのコミュニケーションとは、起業家自身が考えや思いを理解して納得してもらう事だと思います。
インスピレーションはアントレプレナーシップが持つ資質です。インスピレーションは、起業家の社会的ネットワークの関わりによって促進されます。
個人が起業する場合はベンチャービジネスになります。
ベンチャービジネスの特徴は、事業コンセプトを独自に考え個性的になる事です。事業コンセプトは、事業ドメインと言われ、どこで勝負するか、何で勝負するかを考えだし、起業機会に対する即応性、弾力性、適応性能力が必要になり、ビジョンを実践する能力であり、新しいことへの学びや、投資に対する前向きな姿勢です。コミットメントと「決断力」起業機会への執念を持ち合わせて、創造性、成功への熱意を持った人材です。
ビジネスプランの大切さ
事業コンセプトはビジネスプランの策定に密接に関わってきます。
起業家は、起業機会を要約し、起業機会をいかに実現するかを定義し、明確に文書化しなければいけません。ビジネスプランの作成能力が、起業する者の能力となります。
起業家は、的確なビジネスプランの策定能力、より具体的にはアイデアから事業コンセプトを確立し事業確立のために経営資源を編集していく、すなわちビジネスモデルを構築する能力とパワーが求められます。
セレンディピティ
アントレプレナーの要件として偶然に何かを発見する才能がある。この能力をセレンディピティと呼ばれています。誰でも持っている通常は気づかない才能です。この才能について考えてみます。
榊原英資は、「暗記詰め込みなくして創造力は育たない」。といっています。彼によれば、「創造とは、知識と知識の組み合わせを新しく組み替えることであり、それを可能にする能力が創造力だとされる。」といっています。
レオナルドダビンチが博識で、「真に創造的な仕事をする人は豊富な知識を持っている。情報がメッセージないし意味のフローであるに対し、知識は体系化された情報のストックである。知識は記憶情報のみではなく、概念、法則、理論、価値観、世界観に至るまでの包括的な多層のレベルにまたがって使われる言葉であり簡単な定義を受けない。」と言っています。
ベンチャービジネスの創造は、新たな価値を持ったアイデアが、既存企業のビジネスモデルに陳腐化を生じさせるノウハウを持った起業する者が、新たなビジネスモデルの構築を通じて新しい価値に変えていくプロセスなのです。
起業プロセス
Wiersemaの提示する企業のイノベーションプロセス3段階が参考になります。
彼らのイノベーションプロセスの「第1プロセスは、アイデアの創出,第2プロセスはアイデアの現実化、そして第3のプロセスは商品の市場への送り込みである。」と述べています。
起業家のアイデアそれ自体は無価値であり極めて現象的です。アイデアはビジネス化され、技術的に裏付けされることによってはじめて価値のあるものになります。こうして産生された生産物が市場で流通しエンドユーザーに届くことでベンチャービジネスは完結します。起業家には極めて迅速な対応が求められます。
容易に模倣できない能力を持ち合わせた者が、新しいマーケットを創造する事ができます。
Waltonは、「今日のように急速に変わる経済環境の中では生成的戦略が求められる」と言っています。
生成的戦略とは、「組織プロセス、チーム学習、選択的焦点をおき、持続的競争優位の確立を目指すのではなく、恒久的に競争優位を生み出せる組織デザインすることを目的」としています。
ご清聴ありがとうございました。